今日のストリート系は、世界中で受け入れられているファッションジャンルのうちの1つで、ハイブランド業界からも一目置かれる存在です。しかしもともとは、貧しい生まれの子供たちが街なかでお金をかけずに楽しめるよう編み出した「ストリートカルチャー」から生まれました。

 

今回は、ストリートファッションの特徴を見ながら、このスタイルの背景となった2つのカルチャーが現代のストリート系へ与えた影響を見てみましょう。

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ストリートファッションの特徴

ストリートファッションとは、街に集まる若者たちの間で生まれ、彼らの手で独自に発展させてきたファッションスタイルです。その時期に流行った音楽や映画、社会情勢などに影響を受けるため、時代と共に進化し続けることが大きな特徴です。

 

このような理由からストリートファッションに対する明確な定義はありませんが、全体的にカジュアルでラフなスタイルを特徴としています。Tシャツ、パーカー、デニム、スニーカーなどスポーティなアイテムが定番として揃い、オーバーサイズで着こなすため大き目のシルエットとなります。

ストリートファッションの背景となった2つのカルチャー

ストリートファッションの特徴は、このスタイルが生まれる背景となったスケートボードとヒップホップという２つのストリートカルチャーに色濃く影響されています。

 

1970年代のアメリカでは、貧困地域に住む子供達の間で落書き（グラフィック）やブレイクダンスなどお金をかけずに楽しめるストリートカルチャーが熱を帯びていました。その筆頭となったのが、カリフォルニアで流行ったスケートボードとニューヨークで若者の心を掴んだヒップホップです。

スケートボード

1940年代にアメリカのカリフォルニアで誕生し、当初はサーファーの間で親しまれていたスケートボードは、競技として確立された1970年代に入ってから若者たちの間で一気に人気のスポーツとなりました。この流行に合わせてスケートボードをしやすいファッション、スケーターファッションも広まるようになります。

 

大きな動きの邪魔にならないようゆったりとしたオーバーサイズの服が好まれ、Tシャツやチノパン、ハーフパンツなどスポーティなアイテムが揃います。また、スケートボードでは、こけてケガをすることも多いため、デニムなど丈夫な生地のパンツが愛用されています。

ヒップホップ

1970年代、黒人やヒスパニック系の貧しい人々が集まる場所となっていたニューヨークのブロンクス地区で誕生したヒップホップは、すぐに若者たちの間で広がりを見せるようになります。当初彼らは、裕福なエリアであるマンハッタンで売れ残った商品を独自のセンスで組み合わせて身に着けていました。

 

スニーカーの紐をアイロンで太くしてみたり、極太のゴールドチェーンを首に巻くなど、限りある資源の中で工夫を凝らしたファッションを楽しみました。その独自のスタイルには、自己のアイデンティティの確立や「自分は他とは異なる」という主張が込められていたようです。

 

ヒップホップファッションのスタイルを最初に確立したと言われているのが、Run-D.M.C.というラップグループです。それ以前のラッパーたちは、装飾の多いギラギラとした派手な衣装を着用していたのですが、彼らはアディダスのトラックスーツに紐を抜いたスーパースターというシンプルながらお洒落なストリート系ファッションをしていました。

 

その後も、名だたるラッパーやブレイクダンサーたちが個性を追求することで、変化し続ける生きたストリートファッションを作り上げていくようになります。1990年代にはバギージーンズやベースボールキャップなどのアイテムでルーズなシルエットが人気だったものが、2000年代に入るとタイト系のファッションを好むようになるなど、時代と共に大きく変化している様子を伺えます。

まとめ

「ストリート系」とは、社会的に弱い立場にいた人たちが「自分が自分であること」を受け入れ自尊心を高めていく過程で生まれたカルチャーが背景となっています。スケートボードやヒップホップなどに影響を受けたスタイルは、時代の流れと共に移り変わってきましたが、背景となった根底にある精神は、変えることなくしっかりと受け継いでいきたいですね。